チャートの基本知識

投資やトレードにおいて、相場の動きを視覚的に理解するためのチャート分析の基礎知識をご紹介します。値動きの傾向を把握し、平均線を活用した判断方法、取引量の変化から読み取れる市場心理など、実践的な見方を学ぶことで投資判断の精度を高めることができるでしょう。

トレンドの把握

チャートを見ると、市場の流れが一目でわかります。グラフが右肩上がりになっていれば上昇トレンドを示し、価格が継続的に高くなっている状態です。反対に、下降線を描いているなら下落傾向にあり、値段が徐々に安くなっています。

また、横ばいの動きが続く場合は「レンジ相場」や「もみ合い」と呼ばれ、大きな変動がない状態です。これらのパターンを理解することで、投資タイミングの判断材料になります。

移動平均線の使い方

移動平均線は、特定期間の平均値を結んだラインで、市場の方向性を捉えるのに役立ちます。このグラフツールは日々の細かな変動を滑らかにし、全体的な流れを見やすく表示します。

ラインが上向きなら強気相場、下向きなら弱気相場、水平なら横ばい状態です。短期(5~25日)・中期(50日)・長期(100~200日)と複数の期間を組み合わせることで、さまざまな時間軸での判断が可能です。また、価格がラインを超える動きからも、投資タイミングを読み取ることができます。

【2025年】のS&P500の動き

2025年のS&P500は、激しい上下動を繰り返しました。トランプ政権の関税政策による大幅下落や、そこからの回復、夏の史上最高値など劇的な展開となりました。この変動の背景にある要因について解説します。

チャートの全体的な傾向

2025年前半のS&P500は激動の展開を見せました。2月に最高値を記録した後、トランプ政権の関税政策により4月には大幅下落し、約9兆8千億ドルもの時価総額が消失しました。

しかし4月以降、市場は徐々に回復へと転じ、6月には過去最高値を更新します。特に注目すべきは主要IT大手の貢献で、指数全体の上昇率約25%に対し、これら主要銘柄は35%超の上昇を記録しました。

出典:S&P Global

7月に入ると、議会での法案可決期待や関税政策の調整を背景に、S&P500は7月2日に再び史上最高値を更新しています。

出典:三井住友DSアセットマネジメント

今後のトランプ関税の影響は?

2025年7月17日の段階で、S&P500は過去最高に近い数値です。トランプ政権による関税政策への懸念が和らぎ、市場は落ち着きを取り戻したといってよいでしょう。ただし、今後もこの状況が続くかは不透明です。

アメリカとロシアや中国、カナダ、EU、日本などとの関税交渉次第で、S&P500が再び下落する可能性は否定できません。アメリカの政策や市場の動向に注意する必要があるでしょう。