住宅ローンが払えないとどうなる?競売までの流れと相談・任意売却・個人再生の選択肢

収入の減少や病気、離婚、物価上昇などにより、住宅ローンの返済が難しくなることは珍しいことではありません。しかし、支払いが遅れそうな段階で金融機関へ相談すれば、返済期間の延長や一時的な返済額の見直しなどを検討できる場合があります。この記事では、住宅ローンを払えない場合に起こること、競売までの流れ、任意売却や個人再生、団体信用生命保険の確認方法、相談窓口まで順を追って解説します。

この記事でわかること

  • 住宅ローンが払えないときに最初に行うこと
  • 滞納から一括請求・競売へ進む一般的な流れ
  • 返済条件変更、通常売却、任意売却、個人再生の違い
  • 病気や団信、離婚、連帯保証人に関する注意点
  • 住宅ローンの返済について相談できる窓口

住宅ローンが払えないとき、最初に行うこと

最初に行いたいのは、借り入れている金融機関への相談です。返済日を過ぎてからではなく、翌月以降の支払いが難しいと予想できた段階でも相談できます。滞納を隠したまま時間が経過すると、選べる解決方法が少なくなる可能性があります。

滞納前でも金融機関に相談できる

住宅ローンを契約した金融機関では、収入減少や病気、失業などにより返済が難しくなった利用者からの相談を受け付けています。状況によっては、次のような返済条件の変更を検討してもらえる場合があります。

  • 返済期間を延長して毎月の返済額を減らす
  • 一定期間、元金の返済を減らす、または据え置く
  • ボーナス返済の金額や返済方法を変更する
  • 毎月返済とボーナス返済の割合を見直す
  • 返済日や返済計画を再設定する

ただし、条件変更を受けられるかどうかは審査によって決まります。また、返済期間を延ばすと毎月の負担は軽くなる一方、支払う利息が増え、総返済額が増加することがあります。

住宅金融支援機構では、一定の要件を満たす利用者を対象に、返済期間の延長や元金の支払いを一時的に休止する返済方法変更メニューを公開しています。機構融資の一部では、返済期間の延長が最長15年、失業や一定以上の収入減少がある場合に利息のみを支払う期間が最長3年とされるメニューがあります。民間金融機関の住宅ローンに同じ内容が適用されるとは限らないため、契約先への確認が必要です。

相談前に家計とローンの状況を整理する

金融機関へ相談するときは、「払えない」という事実だけでなく、返済が難しくなった原因と今後の見通しを具体的に説明できるようにします。次の情報をまとめておくと、相談が進みやすくなります。

  • 住宅ローンの残高、毎月返済額、ボーナス返済額
  • 現在の世帯収入と今後の収入見込み
  • 食費、光熱費、保険料、教育費などの毎月の支出
  • 預貯金や保険、有価証券などの資産
  • 住宅ローン以外の借入残高と返済額
  • 失業、病気、離婚、介護など返済が難しくなった理由
  • 自宅に住み続けたいのか、売却も検討できるのか

給与明細、源泉徴収票、返済予定表、預金通帳、家計簿などの提出を求められることもあります。金融機関から案内された書類を準備しましょう。

返済資金を新たな借金で補う方法には注意する

住宅ローンの返済をカードローンやクレジットカードのキャッシングで補うと、金利の高い借入が増え、家計がさらに悪化するおそれがあります。一時的に返済日を乗り切れても、翌月には住宅ローンと新しい借金の両方を返さなければなりません。

返済資金が不足している場合は、新規借入を増やす前に、住宅ローンの金融機関や法律・家計相談の専門窓口へ相談する方が、状況に合った選択肢を確認しやすくなります。

住宅ローンを払えないとどうなる?競売までの一般的な流れ

住宅ローンを一度払えなかっただけで、直ちに自宅が競売にかけられるわけではありません。一方で、滞納を放置すると、督促、一括請求、保証会社による代位弁済、競売へと進む可能性があります。実際の順序や時期は、契約内容や金融機関、保証会社によって異なります。

返済日の経過と金融機関からの連絡

返済日に口座残高が不足していると、電話や郵便などで入金を求められます。契約に基づき遅延損害金が発生する場合もあります。

この段階で不足額を用意できない場合は、連絡を無視せず、収入状況と支払い可能な時期を伝えることが大切です。ただし、連絡をしただけで支払期限が自動的に延長されるわけではありません。返済条件の変更には金融機関の承認が必要です。

期限の利益を失い、一括返済を求められることがある

住宅ローンは、本来であれば長期間にわたって分割返済できる契約です。この分割返済できる利益を「期限の利益」といいます。

滞納が続き、契約で定められた条件に該当すると、期限の利益を失い、金融機関からローン残高や利息などの一括返済を求められることがあります。何回の滞納で一括請求になるかは一律ではなく、契約書や金融機関の対応によって異なります。

保証会社が代位弁済しても借金はなくならない

保証会社を利用している住宅ローンでは、返済が継続できなくなった後、保証会社が利用者に代わって金融機関へ残債務を支払う「代位弁済」が行われる場合があります。

代位弁済が行われても、住宅ローンが免除されるわけではありません。返済を請求する権利が金融機関から保証会社へ移り、その後は保証会社から一括返済を求められるのが一般的です。なお、保証会社を利用していない契約もあります。

競売が申し立てられる

一括返済ができず、任意売却などの合意も成立しない場合、金融機関や保証会社が裁判所へ担保不動産競売を申し立てる可能性があります。

裁判所が申立てを適法と判断すると競売開始決定が行われ、自宅に差押えの登記がされます。その後、執行官による現況調査や評価人による価格評価が行われ、物件情報が公開されて入札へ進みます。

競売で売却されても残債務が消えるとは限らない

競売代金は、手続費用や住宅ローン債権などへの配当に充てられます。売却代金で住宅ローンを全額返済できなければ、売却後も残った債務の支払いを求められる可能性があります。

競売で自宅を失った後も返済が必要になることがあるため、競売開始決定が届く前の段階から、売却や債務整理を含めた対応を検討することが重要です。

自宅を残せる可能性がある返済条件変更と個人再生、自宅を売る通常売却・任意売却には、それぞれ異なる条件があります。具体的な違いを次のページで確認しましょう。