実家を売却するときは、一般的な自宅の売却とは異なり、相続登記、家族間の合意、家具や荷物の片付け、古い建物の扱いなど、複数の問題を同時に整理する必要があります。また、不動産会社によって査定額や得意な地域、販売方法が異なるため、1社だけで判断せず、複数の査定・売却サービスを比較することも大切です。この記事では、実家売却の流れ、査定サービスの特徴、媒介契約、費用、相続、3,000万円特別控除、確定申告、遠方の実家を売る方法まで、2026年7月時点の制度に基づいてわかりやすく解説します。
この記事の主な内容
- 実家を売却する前に確認すること
- 実家売却の流れと必要な手続き
- 査定・売却サービス6社の比較
- 仲介、買取、媒介契約の違い
- 売却にかかる費用と税金
- 相続した実家の3,000万円特別控除
- 家具・荷物の片付けと遠方から売る方法
実家売却で最初に確認すべきこと
実家を売ると決めても、すぐに不動産会社と契約できるとは限りません。最初に確認したいのは、実家の名義、家族の意向、住宅ローンや抵当権の有無、相続手続きの進み具合です。
登記事項証明書で現在の所有者を確認する
不動産を売却できるのは、原則として登記簿上の所有者です。固定資産税の納税通知書に記載されている人と、登記簿上の所有者が同じとは限らないため、法務局で登記事項証明書を取得して確認します。
親が存命で親名義の実家を売る場合、売主は親本人です。子が売却活動を手伝うことはできますが、媒介契約や売買契約などの重要な手続きは、所有者本人が行うのが基本です。
子が代理人として契約する場合は、委任状や本人確認書類などが必要になります。所有者本人の意思能力が低下している場合は、委任状だけでは対応できず、成年後見制度などの検討が必要になることもあります。
相続した実家は相続登記を済ませる
登記名義人が亡くなっている場合は、亡くなった人の名義のまま買主へ所有権を移すことはできません。遺言書や遺産分割協議によって実家を取得する人を決め、相続登記を行ってから売却します。
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った相続人は、原則として、その事実を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象です。施行前から相続登記をしていない不動産は、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
共有名義の場合は全員の意思を確認する
兄弟姉妹など複数人で実家を共有している場合、実家全体を売るには共有者全員の同意が必要です。一部の共有者だけで、実家全体の売買契約を結ぶことはできません。
査定を依頼する前に、次の項目を家族で整理しておくと手続きを進めやすくなります。
- 誰が実家を相続するのか
- 共有名義のまま売るのか、単独名義にするのか
- 売却価格の最低希望額
- いつまでに売りたいのか
- 売却代金をどのように分けるのか
- 片付け費用や解体費用を誰が負担するのか
- 家具や形見を誰が引き取るのか
住宅ローンや抵当権の有無を確認する
実家の住宅ローンが残っている場合でも、売却代金などでローンを完済し、抵当権を抹消できれば売却できます。
ローン残高が売却価格を上回る場合は、自己資金で不足額を補う必要があります。金融機関へ連絡し、ローン残高や一括返済に必要な手続きを確認しましょう。
実家売却の流れを8つの手順で解説
実家の状態や相続の進み具合によって必要な手続きは異なりますが、一般的な実家売却は次のような順番で進みます。
1.名義と権利関係を確認する
登記事項証明書で所有者、共有持分、抵当権などを確認します。相続した実家であれば、戸籍の収集、遺言書の確認、遺産分割協議、相続登記も進めます。
2.売却に関する家族の意向をまとめる
希望価格、売却期限、片付け方法、費用負担などを家族で話し合います。共有者がいる場合は、窓口になる代表者を決めておくと、不動産会社との連絡が円滑になります。
3.必要な資料を集める
査定や売却で使用する可能性がある主な資料は次のとおりです。すべての物件で同じ書類が必要になるわけではありません。
- 登記識別情報通知または権利証
- 固定資産税納税通知書
- 固定資産評価証明書
- 土地の測量図、境界確認書
- 建築確認済証、検査済証、建物図面
- 購入時の売買契約書や領収書
- 建築時の請負契約書
- リフォームや修繕の記録
- 相続関係を確認できる戸籍
- 遺言書または遺産分割協議書
特に購入時の売買契約書や建築代金の領収書は、譲渡所得税の計算に使用できる重要な資料です。実家の片付けをするときに処分しないよう注意してください。
4.複数の不動産会社へ査定を依頼する
査定額や販売方針は、不動産会社によって異なります。1社だけでは提示された金額が適切か判断しにくいため、複数社へ査定を依頼し、金額の根拠や販売計画を比較します。
5.売却方法と不動産会社を決める
一般の購入希望者を探す仲介、不動産会社が直接購入する買取などから、実家の状態と売却期限に合う方法を選びます。
仲介を選ぶ場合は、不動産会社と一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約のいずれかを結びます。
6.売り出し価格を決めて販売を始める
査定額、周辺の成約事例、実家の状態、売却期限などを踏まえて売り出し価格を設定します。査定額や売り出し価格は、実際に契約が成立する成約価格と同じではありません。
7.売買契約と引渡しを行う
購入希望者が見つかったら、価格、引渡し時期、残置物、建物の不具合、境界、解体の有無などを調整します。
条件がまとまったら売買契約を締結し、決済日に残代金の受領、所有権移転登記、鍵の引渡し、固定資産税等の精算を行うのが一般的です。
8.必要に応じて確定申告をする
実家の売却によって利益が出た場合は、原則として、売却した翌年に確定申告を行います。
3,000万円特別控除などを利用して税額がゼロになる場合でも、特例の適用を受けるには確定申告が必要です。
実家の売却結果を左右するのは、査定額の高さだけではありません。次のページでは、主な査定・売却サービスの特徴と、実家の状況に合った選び方を比較します。




