借金やクレジットカードの支払いが重なり、毎月返済しても元金がほとんど減らない場合は、債務整理によって返済負担を軽減できる可能性があります。ただし、債務整理には任意整理・個人再生・自己破産など複数の方法があり、財産や住宅ローン、クレジットカード、信用情報への影響も異なります。本記事では、各手続きの特徴やデメリット、費用、弁護士と司法書士の違い、債務整理サービスを比較するときの注意点を解説します。
この記事の主な内容
- 債務整理の意味と利用を検討できる条件
- 任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の違い
- 信用情報やクレジットカード、住宅ローンへの影響
- 債務整理にかかる費用と依頼先比較
債務整理とは借金の返済条件を見直すための手続き
債務整理とは、借金やクレジットカードの利用代金などを約束どおり返済することが難しくなった場合に、返済額や返済期間を見直したり、一定の条件で支払い義務の免除を受けたりする手続きの総称です。
債務整理を検討できる主な状況
債務整理を利用するために、「借金が何万円以上必要」といった一律の最低金額が決められているわけではありません。借金の総額だけでなく、収入、生活費、財産、家族構成、今後の返済可能額などを踏まえて判断します。
例えば、次のような状況では、専門家への相談を検討する余地があります。
- 返済のために別の会社から借り入れている
- 毎月返済しても借金の元金がほとんど減らない
- クレジットカードのリボ払い残高が増え続けている
- 返済日までに必要な金額を準備できない
- 家賃や光熱費などの生活費を削らないと返済できない
- すでに督促状や裁判所からの書類が届いている
相談したからといって、必ず債務整理を依頼しなければならないわけではありません。家計を整理したうえで返済を続けられる場合は、債務整理を行わない選択肢が示されることもあります。
債務整理の種類は主に4つ
個人が利用する代表的な債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停があります。それぞれ裁判所を利用するかどうか、借金の減額範囲、財産への影響が異なります。
| 方法 | 主な特徴 | 裁判所 | 向いている可能性がある状況 |
|---|---|---|---|
| 任意整理 | 債権者と返済条件を個別に交渉する | 原則利用しない | 一定の収入があり、利息負担を見直せば返済できる |
| 個人再生 | 借金を法律上の基準に沿って減額し、原則3~5年で返済する | 利用する | 継続的な収入があり、住宅を残したい事情がある |
| 自己破産 | 財産を清算し、免責が認められれば多くの債務の支払い責任がなくなる | 利用する | 収入や財産では返済を続けられない |
| 特定調停 | 簡易裁判所の調停委員を介して返済条件を話し合う | 利用する | 費用を抑え、自分で手続きを進めたい |
任意整理は対象とする債権者を選べる
任意整理は、弁護士や認定司法書士が消費者金融、カード会社、銀行などと交渉し、将来発生する利息の軽減や返済期間の見直しを求める方法です。
裁判所を利用しないため、ほかの方法に比べると手続きの負担を抑えやすい傾向があります。また、自動車ローンや住宅ローンなど、整理すると財産を失う可能性がある債務を対象から外せる場合があります。
ただし、債権者が交渉に応じる義務はありません。元金が必ず減る制度でもなく、和解後も返済を続けられる収入が必要です。
個人再生は借金を減額して返済する裁判手続き
個人再生は、住宅ローンを除く債務総額が5,000万円を超えておらず、将来にわたって継続的または反復的な収入が見込まれる個人が利用できる手続きです。
裁判所に再生計画を提出し、認可された計画に従って原則3年間、事情によっては最長5年間で一定額を返済します。計画どおりに返済を終えると、原則として残りの債務が免除されます。
一定の条件を満たして住宅資金特別条項を利用できれば、住宅ローンの返済を続けながら、ほかの借金を整理できる可能性があります。ただし、住宅ローンそのものの元金が減額される制度ではありません。
自己破産は返済不能の場合に生活再建を目指す手続き
自己破産は、保有する財産や今後の収入を考慮しても借金を返済できない状態にある場合に、裁判所へ申し立てる手続きです。
一定以上の財産は債権者への配当に充てられますが、免責許可決定が確定すれば、原則として破産手続開始前の借金について支払い責任がなくなります。
ただし、税金、罰金、養育費、一定の損害賠償債務などは、自己破産をしても免除されないことがあります。財産を隠したり、一部の債権者だけに偏った返済をしたりすると、手続きに影響する可能性もあります。
債務整理と自己破産は同じ意味ではない
自己破産は債務整理の一種です。債務整理という大きな分類の中に、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停などの方法があります。
「債務整理をすると必ず借金がすべてなくなる」とは限りません。任意整理や個人再生では、見直した後の借金を継続して返済します。返済義務の免除を目指す自己破産でも、すべての債務が免除されるわけではありません。
債務整理の種類によって、クレジットカードや住宅ローン、家族への影響は大きく変わります。特に注意したいデメリットを次のページで確認しましょう。





