【2026年版】DOEとは?株式での意味・計算式・ROEや配当性向との違い・採用銘柄まで徹底解説

DOE採用銘柄一覧|2026年に確認できる代表的な上場企業

DOEを採用する上場企業は増えています。ただし、東京証券取引所が「DOE採用企業全社」を常時一覧として認定・公表しているわけではなく、各社が中期経営計画、有価証券報告書、決算説明資料などで独自に配当方針を開示しています。

以下は、2026年8月28日までに公表された資料でDOE方針を確認できる代表例です。全採用銘柄を網羅した一覧ではありません。

証券コード 企業名 公表されているDOE方針・目標の例
6078 バリューHR 配当性向50%以上またはDOE10%のいずれか高い方を基準とする累進配当方針
3836 アバントグループ 中期経営計画期間内にDOE8%達成を目標
1870 矢作建設工業 DOE5%以上、累進配当を基本方針
2497 ユナイテッド DOE5%または連結配当性向50%のいずれか大きい金額
6309 巴工業 DOE5%を下限とし、連結配当性向50%以上を目標
5201 AGC DOE3%程度を目安とした安定配当
7224 新明和工業 現行中期経営計画期間中の目標水準をDOE3%程度に設定
4611 大日本塗料 2026中計期間はDOE3%を基準とし、2029年度までに5%到達を目標

このように、DOE3%程度を安定配当の基準にする企業がある一方、5%以上を下限とする企業や、8%・10%といった比較的高い目標を掲げる企業も存在します。

「DOEが高い銘柄」を選ぶ前に知っておきたいこと

DOEが高い銘柄は、株主資本に対して多くの配当を実施していることを示します。しかし、DOEだけで投資価値を判断することはできません。

たとえば次の2社があったとします。

  • A社:ROE20%、配当性向40% → DOE約8%
  • B社:ROE4%、配当性向200% → DOE約8%

どちらも計算上のDOEは約8%ですが、その背景は大きく異なります。

A社は高い収益性によってDOE8%を実現しています。一方、B社は当期利益を大幅に上回る配当を実施している状態です。

つまり、DOEの数字だけでは「稼ぐ力によって高いのか」「配当性向を高くすることで高いのか」を判別できません。

DOEを見るときはROEと配当性向を同時に確認することが非常に重要です。

DOE採用企業は増えている?近年の動向

日本企業ではDOEを株主還元方針へ取り入れる動きが広がっています。

大和総研が2025年上半期に配当方針を変更した企業を集計した調査では、変更企業263社のうち、DOEを採用したケースが60件ありました。2025年下半期にも、新たな方針としてDOEを採用した事例が26件確認されています。

背景には、利益の変動に左右されにくい安定配当への関心に加え、東京証券取引所が上場企業へ資本コストや株価を意識した経営を求めてきたことなどがあります。

ただし、東京証券取引所が上場企業に対して「DOEを導入しなければならない」と義務付けているわけではありません。DOE、配当性向、累進配当、自社株買いなど、どの資本政策を採用するかは各企業が自社の状況に応じて決定します。

DOE採用や目標引き上げは株価に影響する?

DOEを新たに採用したり、目標値を引き上げたりすると、将来の株主還元に対する期待から株価が反応することがあります。

実際、大和総研が2022年以降の配当方針変更を分析した調査では、変更発表後にTOPIXを上回る株価パフォーマンスとなった企業が多く確認されています。

2025年下半期についても、配当方針変更を開示した企業では、発表直後にTOPIXを上回った企業が6割を超えました。

ただし、DOEを導入すれば株価が上昇するという因果関係や保証があるわけではありません。

市場が確認しているのはDOEという名称だけではなく、

  • 実際に増配するのか
  • 今後も配当を維持できる利益があるのか
  • 企業業績は成長しているのか
  • DOE目標に無理がないか
  • 成長投資とのバランスは適切か
  • すでに株価へ織り込まれていないか

といった点です。

過去の統計的な株価反応は将来の値動きを保証するものではありません。

DOEと累進配当はどう違う?

DOEと一緒に採用されることが増えているのが累進配当です。

一般に累進配当とは、一定期間において1株当たり配当金を前年度と同額以上とし、原則として減配しない方針を指します。

DOEとの違いは、DOEが「株主資本に対する比率」であるのに対し、累進配当は「1株当たり配当額を維持または増加させる」という考え方であることです。

方針 基準
DOE 株主資本に対して一定割合を配当
配当性向 当期利益の一定割合を配当
累進配当 原則として1株当たり配当を維持または増額

企業によっては「DOE5%以上+累進配当」のように両方を組み合わせ、安定性と配当成長の両方を意識した方針を採っています。

DOEを見るときによくある疑問

DOEは高いほど良い?

一概には言えません。高DOEでも収益力が伴わなければ、配当の持続性に注意が必要です。ROE、配当性向、キャッシュフロー、自己資本比率などと併せて確認する必要があります。

DOE3%は低い?

3%という数字だけで低いとは判断できません。日本の主要企業ではDOE3%を目標・基準に採用する例が多く確認されています。業種や成長投資の必要性によって適切な水準は変わります。

DOE10%なら配当利回りも10%?

いいえ。DOEは株主資本に対する配当額の割合で、配当利回りは株価に対する配当額の割合です。まったく別の計算です。

赤字でもDOEによる配当はできる?

単年度が赤字でも、会社法上の分配可能額があり、企業が配当を決定すれば配当が行われる場合はあります。DOE方式では利益だけを直接の基準にしないため、単年度の減益・赤字でも直ちに配当額が連動して減少するとは限りません。ただし、配当には会社法上の制約があり、企業の財務状況や取締役会・株主総会等の決定によって実施内容は変わります。

DOE目標があれば将来の配当は保証される?

保証されません。中期経営計画や配当方針は将来変更される可能性があります。企業によっては「目安」「目標」「下限」「原則」と表現も異なるため、最新のIR資料を確認する必要があります。

まとめ|DOEは「安定配当」と資本効率を理解する重要な指標

DOEは株主資本に対して企業がどの程度の配当を行っているのかを見る指標です。基本的には「年間配当総額÷株主資本×100」で考えます。

ROEが資本を使って利益を生み出す力を見るのに対し、DOEは株主資本に対する配当水準を示します。また、配当性向が単年度の利益を基準とするのに対し、DOEは株主資本を基準とするため、業績変動の影響を比較的受けにくいことが特徴です。

近年はDOE3%前後を基準にする企業だけでなく、5%、8%、10%といった目標を掲げる企業もあります。DOEと累進配当、配当性向を組み合わせる配当政策も増えています。

一方で、DOEが高いことと、企業の収益性が高いこと、配当利回りが高いこと、将来の株価が上昇することはそれぞれ別問題です。

DOEを見る際には、「DOE=ROE×配当性向」という関係を意識しながら、ROE、配当性向、利益成長、キャッシュフロー、財務状況、成長投資まで併せて確認すると、その企業の株主還元策をより正確に理解できます。

注意事項:本記事はDOEや企業の配当政策に関する一般的な情報提供を目的としており、掲載した企業の株式その他の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。配当方針、目標値、業績予想等は企業の判断により変更される場合があります。また、株式には価格変動によって損失が生じるリスクがあります。実際の投資判断では各企業の最新の適時開示、有価証券報告書、決算資料等をご確認ください。

<参考サイト> 日本取引所グループ(JPX) / 東京証券取引所 / 大和総研 / 野村證券 / バリューHR / アバントグループ / 矢作建設工業 / ユナイテッド / 巴工業 / AGC / 新明和工業 / 大日本塗料 / コムチュア / Unsplash