【2026年版】POとは?公募増資・売出しの違い、株価への影響、応募方法、つなぎ売りまで徹底解説

株式投資をしていると「PO」「公募増資」「株式売出し」といった言葉を目にすることがあります。「市場価格より安く買えるなら儲かるのでは?」「POが発表されると株価は下がる?」「IPOとの違いは?」と疑問を感じやすい制度ですが、POには割引価格で取得できる可能性がある一方、公募増資による希薄化や株式需給の悪化、受渡日までの株価下落などのリスクがあります。本記事では、POとは何かという基本から、公募増資と売出しの違い、株価への影響、価格決定日とディスカウント率、応募・注文方法、信用取引によるつなぎ売りの規制、2026年8月時点のPO予定銘柄まで、最新情報を確認したうえでわかりやすく解説します。

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この記事の目次

  • POとは何か
  • 公募増資と株式売出しの違い
  • POとIPOの違い
  • PO発表後の株価はどうなるか
  • 価格決定日とディスカウント率
  • POへの応募・注文方法
  • POのメリット・デメリット
  • PO株を買えば儲かるのか
  • つなぎ売りと信用取引の注意点
  • PO予定銘柄・公募増資一覧の確認方法

POとは?株式の「公募・売出し」をわかりやすく解説

POとは「Public Offering」の略称です。日本の個人投資家向けの株式取引では、主にすでに上場している企業の「公募増資」や、既存株主が保有株式を広く投資家へ販売する「売出し」をまとめてPOと呼んでいます。

大和証券もPOについて、すでに上場している企業が不特定多数の投資家を対象に増資の応募を求めたり、大株主などが保有する既発行株式を売り出したりするものと説明しています。

通常の株式取引では、証券取引所でその時点の市場価格を見ながら株を購入します。一方、POの場合は、取扱証券会社を通じて購入希望を申し込み、決定された募集・売出価格で株式の配分を受けるという違いがあります。

POの公募増資と売出しは何が違う?

POを理解するうえで最も重要なのが、「公募増資」と「売出し」を区別することです。どちらも多数の投資家へ株式を販売しますが、株式の出どころが違います。

比較項目 公募増資 株式売出し
販売する株 企業が新たに発行する株式 既存株主などが保有する株式
発行済株式数 原則として増える 通常は増えない
資金の主な受取人 発行会社 売出株主
新株発行による希薄化 生じる可能性がある 通常は生じない
株式需給への影響 あり得る あり得る

公募増資とは

公募増資とは、企業が広く一般の投資家を対象に新株を発行して資金を調達する方法です。日本取引所グループでは、公募増資を「特定の投資者に限らず広く一般に株主を募集し、時価を基準にした価格で新株式を発行する方法」と説明しています。

企業側は調達した資金を、設備投資、研究開発、M&A、事業拡大、借入金返済など、公表した資金使途に利用できます。

一方、新しい株式が増えるため、会社の利益が同じであると仮定すると1株当たり利益(EPS)が低下します。また、既存株主が持つ議決権の割合も相対的に低下します。これを一般に「株式の希薄化」と呼びます。

株式の売出しとは

売出しとは、大株主などがすでに保有している既発行株式を、多数の投資家へ販売することです。

日本取引所グループも、売出しについて、大株主などが持つすでに発行された有価証券を多数の投資家へ売却する際に利用される仕組みと説明しています。

新株を発行しない通常の売出しでは発行済株式数は増えないため、公募増資のような新株発行による希薄化はありません。

ただし、大量の株式が投資家へ販売されることで、市場で売買可能な株式が増えます。そのため短期的には需給悪化が意識され、株価へ影響する場合があります。

POとIPOの違い|名前は似ているが仕組みは違う

IPOは「Initial Public Offering」の略で、新規株式公開を意味します。

IPOは未上場だった企業が証券取引所へ新規上場し、その株式を一般の投資家が市場で自由に売買できるようになることです。

これに対して、日本の証券会社などで「PO」と呼ばれるものは、主としてすでに上場している企業の公募増資・売出しです。

項目 PO IPO
対象 主に既上場企業 これから新規上場する企業
市場株価 すでに市場株価がある 上場前には市場株価がない
価格 市場株価を参考に決定されることが多い 仮条件・需要状況などから公開価格を決定
主な目的 資金調達、大株主の株式売却など 新規上場、資金調達、既存株主の売出しなど

なお、IPOでも新株発行による公募や既存株主による売出しが実施されることがあります。そのため「公募」「売出し」という仕組み自体はIPOでも使われます。

POが発表されると株価はどうなる?

POが発表されたからといって、株価が必ず下落するわけではありません。ただし、公募増資や大規模な売出しでは短期的に株価へ下押し圧力がかかることがあります。

公募増資では希薄化が意識されやすい

公募増資では発行済株式数が増えます。そのため、1株当たり利益などの希薄化が市場で意識され、発表後に株価が下落することがあります。

さらに、新たな株式が大量に供給されることによる需給悪化も株価の重荷になる可能性があります。

ただし、増資で得た資金が成長投資に使われ、将来の利益増加につながると評価されれば、中長期では異なる株価反応になることもあります。

売出しは希薄化がなくても株価が動く

既存株式の売出しでは、新株を発行しない限り発行済株式数は増えません。しかし、大株主から大量の株式が市場へ移るため、短期的な株式需給への影響が意識されることがあります。

一方、政策保有株式の縮減や株主構成の改善、流通株式の増加などを目的として売出しが実施されるケースもあります。したがって、売出しを一律に「悪材料」と判断するのも適切ではありません。

POの価格決定日とは?ディスカウント率の仕組み

POでは、公募・売出しの発表時点では購入価格がまだ決まっていないことがあります。

企業は「価格決定期間」を公表し、その期間内のいずれかの日に募集・売出価格を決定します。

既上場株式のPOでは、価格決定日の市場株価を基準として、一定の割合を割り引いた価格が募集・売出価格になるケースがあります。

ディスカウント率の計算例

たとえば価格決定日の基準となる株価が2,000円で、ディスカウント率が3%なら、単純な計算では次のようになります。

2,000円 ×(1-0.03)=1,940円

この場合、PO価格は1,940円となります。

ただし、実際の価格算定方法や端数処理は案件ごとに異なります。また、ディスカウント率には一律の決まりがあるわけではありません。

ディスカウント率は案件ごとに違う

2026年に実施・発表されたPOでも、2.5%程度の案件、3~5%、4~6%などの仮条件が設定された例があります。

たとえば2026年8月25日時点で、大阪チタニウムテクノロジーズのPOでは4.0~6.0%、日本空港ビルデングの売出しでは3.0~5.0%のディスカウント率が取扱証券会社から案内されています。

したがって、「POは必ず3%引き」などと考えることはできません。

POは市場価格より安く購入できるケースがありますが、「割引価格=利益確定」ではありません。実際の注文方法と、割引以上に株価が下がるリスクを次ページで確認しましょう。