日本株にも配当貴族はある?S&P/JPX配当貴族指数を解説
日本株を対象とする代表的な配当貴族指数には、S&P Dow Jones Indicesと日本取引所グループに関係する「S&P/JPX Dividend Aristocrats Index(S&P/JPX配当貴族指数)」があります。
ただし、米国のS&P500配当貴族指数とは採用条件が異なります。
日本版は「10年以上の増配または安定配当」が基本
2026年7月版の指数メソドロジーによる主な条件は次の通りです。
- TOPIX構成銘柄を対象とする
- 新規採用では原則10年以上にわたり配当を増加または安定して維持していること
- 浮動株調整後時価総額が500億円以上
- 直近3カ月の平均日次売買代金が原則3億円以上
- 直近12カ月ベースの配当性向が0%以上100%以下
- 直近配当利回りが10%以下
- 最大50銘柄、最低40銘柄を基本とする
- 基本的に配当利回りを基準にウエート付けし、1銘柄の上限は5%
- 1つのGICSセクターの上限は30%
既存構成銘柄については継続採用のためのバッファールールがあり、配当履歴について新規採用時とは異なる基準が用いられる場合があります。
米国版と日本版の条件を比較
| 項目 | S&P500配当貴族 | S&P/JPX配当貴族 |
|---|---|---|
| 対象市場 | 米国・S&P500 | 日本・TOPIX |
| 配当実績 | 原則25年以上連続増配 | 新規採用では原則10年以上の増配または安定配当 |
| 基本ウエート | 均等加重 | 配当利回り加重 |
| 銘柄数 | 2026年夏時点69銘柄 | 2026年7月末時点50銘柄 |
この違いから、単純に「日本版S&P500配当貴族」と考えるのは正確ではありません。同じ「Dividend Aristocrats」という名称でも、対象市場に合わせて指数ルールが設計されています。
日本の配当貴族銘柄|2026年7月末の構成比上位例
S&Pが公表した2026年7月31日時点のS&P/JPX配当貴族指数では、次の企業などが構成比上位に掲載されています。
| 企業名 | 証券コード |
|---|---|
| インフロニア・ホールディングス | 5076 |
| 紀陽銀行 | 8370 |
| 南都銀行 | 8367 |
| 小野薬品工業 | 4528 |
| セントラル硝子 | 4044 |
| 三菱瓦斯化学 | 4182 |
| 山口フィナンシャルグループ | 8418 |
| 日本ゼオン | 4205 |
| みずほフィナンシャルグループ | 8411 |
| ノーリツ鋼機 | 7744 |
これは2026年7月31日時点の構成比上位例です。株価変動や指数リバランスによって順位や構成は変化します。
配当貴族と配当王の違いは?
米国株の長期増配企業については「配当王」という呼び方もよく使われます。
一般的に配当王は50年以上連続して増配している企業を指す言葉として使われます。ただし、「配当王」という日本語表現について世界共通の単一ルールが存在するわけではなく、情報提供者によって細かな定義が異なる場合があります。
S&P Dow Jones Indicesには、公式にS&P Dividend Monarchs Indexという指数があり、S&P Composite 1500の中から原則50年以上連続増配している企業を対象としています。
| 比較 | S&P500配当貴族 | 一般的な「配当王」・S&P Dividend Monarchs |
|---|---|---|
| 連続増配 | 原則25年以上 | 原則50年以上 |
| 対象 | S&P500 | S&P Dividend MonarchsではS&P Composite 1500 |
| 意味 | 長期連続増配企業を一定条件で指数化 | さらに長い増配実績に焦点 |
「25年なら配当貴族、50年なら必ず配当王」と名称だけで機械的に判断するのではなく、どの指数・データベースの定義なのかを確認することが大切です。
配当貴族に投資するETF・投資信託には何がある?
指数自体は計算上の数値なので、S&P500配当貴族指数そのものを直接購入することはできません。一方、この指数への連動を目指すETFや投資信託があります。
代表的な配当貴族ETF
| 商品 | 市場・特徴 |
|---|---|
| ProShares S&P 500 Dividend Aristocrats ETF(NOBL) | 米国上場。S&P500配当貴族指数への連動を目指す代表的なETF。経費率0.35% |
| Global X S&P 500 Dividend Aristocrats ETF(2236) | 東京証券取引所上場。S&P500配当貴族指数を基礎とする日本上場ETF |
| Global X S&P 500 Dividend Aristocrats ETF(為替ヘッジあり・2095) | 東京証券取引所上場。為替ヘッジを行うタイプ |
| NEXT FUNDS S&P 500 配当貴族指数連動型上場投信(364A) | 東京証券取引所上場。2025年6月上場。S&P500配当貴族指数への連動を目指す |
| One ETF 高配当日本株(1494) | S&P/JPX配当貴族指数のトータルリターンへの連動を目指す日本株ETF |
ETFは株式と同様に市場で売買されるため、取引時間中は価格が変動します。指数への連動を目指していても、運用コスト、売買価格、需給などにより指数リターンと完全には一致しません。
野村の「配当貴族」投資信託
野村アセットマネジメントは、S&P500配当貴族指数を活用する投資信託を運用しています。2026年8月時点で公式サイトから確認できる代表例は次の通りです。
- 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族:為替ヘッジなし、年1回決算
- 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族・為替ヘッジ型:為替ヘッジあり、年1回決算
- 米国株式配当貴族(年4回決算型):原則年4回決算、為替ヘッジなし
野村インデックスファンドの2商品は、公式情報上、2026年8月時点でNISAのつみたて投資枠・成長投資枠の対象として掲載されています。一方、「米国株式配当貴族(年4回決算型)」は成長投資枠の対象として掲載されています。制度上の対象商品は変更される可能性があるため、購入時点の最新情報を確認してください。
「配当貴族 野村 みんかぶ」とは何を意味する?
「野村」と「みんかぶ」は役割が異なります。
野村アセットマネジメントは「米国株式配当貴族」などの投資信託を設定・運用する運用会社です。一方、みんかぶ投資信託は、投資信託の基準価額、騰落率、分配金、組入状況などの情報を掲載する情報サービスです。
みんかぶ投資信託には野村アセットマネジメントの「米国株式配当貴族(年4回決算型)」などの商品情報が掲載されているため、両方の名称を一緒に目にすることがあります。
第三者サイトの比較情報は商品の概要を確認する際に便利ですが、手数料、リスク、分配方針、NISA対象状況など契約上重要な内容については、最終的に運用会社が公表する最新の目論見書などを確認する必要があります。
配当貴族を動画で理解する方法もある
配当貴族について文章だけでは理解しにくい場合、運用会社が公開する解説動画もあります。
野村アセットマネジメントの配当貴族関連ページでは、S&P500配当貴族指数の特徴や値動きを説明する動画が公開されています。また、NEXT FUNDSでも配当貴族指数を扱った解説コンテンツがあります。
ただし、動画は理解を助ける資料の一つです。商品を利用する場合は動画だけで判断せず、指数の公式ルール、目論見書、費用、リスクなども併せて確認することが重要です。
長期増配という言葉だけを見ると安定した投資先に思えますが、配当貴族も株価下落とは無縁ではありません。実際のリターン推移と配当利回り、ETF・投信を比べる際の重要ポイントを次ページで解説します。





