PSRとは?株式の計算式・適正値の目安・PERやPBRとの違い・グロース株での使い方を徹底解説

PSRとは、企業の売上高に対して現在の株価がどの程度評価されているかを見る株価指標です。特に、成長投資を優先して利益がまだ小さい企業や赤字のグロース株では、PERだけでは株価水準を比較しにくいため、PSRが分析材料の一つとして使われます。しかし「PSRは1倍以下なら割安」「PSRが高ければ危険」という単純な見方は適切ではありません。この記事では、PSRとは何か、正しい計算式、適正値・目安の考え方、PSR1倍割れの意味、PER・PBRとの違い、グロース株での使い方、PSR銘柄のスクリーニング方法まで、2026年8月時点で確認できる公開情報をもとにわかりやすく解説します。

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この記事の目次

  • PSRとは?株式で使われる意味
  • PSRの計算式と具体例
  • PSRの適正値・目安は何倍か
  • PSR1倍割れの意味と注意点
  • PSR・PER・PBRの違い
  • グロース株でPSRが使われる理由
  • PSRが高い理由・低い理由
  • PSR銘柄をスクリーニングする方法
  • 低PSR銘柄を見るときの注意点

PSRとは?株式の「売上高に対する評価」を見る指標

PSRとは「Price to Sales Ratio」の略で、日本語では「株価売上高倍率」と呼ばれます。

野村證券はPSRについて、時価総額を年間売上高で割った指標で、主に新興成長企業の株価水準を見る際に利用されるものと説明しています。マネックス証券でも、株価売上高倍率(PSR)は「時価総額を年間売上高で割った数値」とされています。

つまりPSRを見ると、その会社が1年間に生み出す売上高の何倍まで、株式市場が会社の株主価値を評価しているかを確認できます。

例えば年間売上高が500億円、時価総額が1,000億円なら、PSRは2倍です。

なお「PSR 売上高株価比率」という表現を見かけることがありますが、日本の証券会社などで一般的に使われている名称は株価売上高倍率です。

PSRが低いほど割安なの?

条件がほぼ同じ企業を比較するのであれば、PSRが低い企業ほど売上高に対する株式市場の評価は低いといえます。

ただし、企業にはそれぞれ異なる利益率、成長率、財務状態があります。このため「PSRが低い=企業価値に対して必ず割安」という意味ではありません。

PSRはあくまで企業分析に使う一つの指標であり、利益率やキャッシュフローなどと組み合わせて見る必要があります。

PSR 計算式|基本は「時価総額÷売上高」

PSRの基本的な計算式は非常にシンプルです。

PSR(倍)=時価総額 ÷ 年間売上高

時価総額は、基本的に次の式で求められます。

時価総額=株価 × 発行済株式数

また、1株当たりの数字をそろえれば、次の式でも計算できます。

PSR(倍)=株価 ÷ 1株当たり売上高

マネックス証券が2026年に提供している「10年スクリーニング」でも、予想PSRの算出方法として「株価÷1株当り売上高」が示されています。

PSRを実際に計算してみよう

例として、次の会社を考えてみましょう。

  • 時価総額:800億円
  • 年間売上高:400億円

計算すると、

800億円 ÷ 400億円=PSR2倍

となります。

一方、年間売上高が800億円、時価総額が400億円なら、

400億円 ÷ 800億円=PSR0.5倍

です。

数字の意味だけを見れば、後者のほうが売上高に対する時価総額は低い状態です。しかし、それだけでは「後者の株が割安」とは断定できません。

実績PSRと予想PSRを混同しない

PSRを見るときには、どの期間の売上高を使って計算しているのかも重要です。

例えば、直近の年間実績を使用するPSRと、会社が発表している今期予想売上高をもとにする予想PSRでは数字が異なることがあります。

マネックス証券は2026年5月21日、日本株分析ツール「マネックス銘柄スカウター」の10年スクリーニングに「予想PSR」などを追加したと公表しています。

異なるサイトのPSRを比較するときは、実績値なのか予想値なのか、どの時点の株価を使用しているのかも確認しましょう。

PSR 適正値・目安は何倍?「1倍」が絶対基準ではない

PSRに、すべての企業へ共通して適用できる「適正値」はありません。

1倍、2倍、5倍といった数字だけを見て割安・割高を一律に決めることができない理由は、企業によって売上高から生み出せる利益がまったく異なるためです。

例えば、売上高が100億円ある次の2社を考えてみます。

  • A社:売上高100億円、純利益20億円
  • B社:売上高100億円、純利益1億円

売上高は同額でも、利益を生み出す力には大きな違いがあります。そのため「売上高100億円なら時価総額も100億円が適正」と考えることはできません。

ニューヨーク大学スターン・スクールのAswath Damodaran教授が公開している評価資料でも、Price/Salesの重要な決定要因として利益率が挙げられており、高い利益率の企業は、他の条件が同じなら高いPrice/Salesで評価されやすいことが説明されています。

PSRは同業他社と比較するのが基本

PSRを使う場合は、絶対的な目安を作るよりも次のような比較が有効です。

  • 同じ業界に属する企業同士を比較する
  • 似たビジネスモデルの企業と比較する
  • 同じ会社の過去のPSRと比較する
  • 売上高成長率を合わせて確認する
  • 営業利益率や純利益率を合わせて確認する

業種によって利益率が大きく違うため、例えば高利益率のソフトウェア企業と薄利多売型の小売企業のPSRを、そのまま横並びにすることには注意が必要です。

「PSR1倍割れなら安い」と判断する前に知っておきたい重要な落とし穴があります。PER・PBRとの違いまで理解すると、その理由がはっきり見えてきます。