不動産査定とは?おすすめの無料査定サービス6選を比較|流れ・査定書・注意点も解説

不動産の査定方法は物件によって異なる

不動産の価格を求める代表的な考え方には、過去の取引事例と比較する方法、建物を建て直す費用から求める方法、賃料収入などの収益性から求める方法があります。

取引事例比較法

対象物件と条件が近い成約事例を選び、駅からの距離、面積、築年数、階数、方角、道路条件などの違いを調整して査定価格を求める方法です。

中古マンションや住宅地の査定で利用されます。ただし、比較に使用する事例によって結果が変わるため、どの物件を参考にしたのか確認することが重要です。

原価法

同じ建物を現在建築した場合に必要となる費用を求め、築年数や劣化などによる価値の減少を反映する方法です。

一戸建ての査定では、土地と建物を別々に評価し、合算することがあります。維持管理、修繕、住宅性能などが査定に反映される場合もあります。

収益還元法

不動産から得られる賃料収入や運営費、空室率、利回りなどをもとに価格を算出する方法です。

賃貸マンション、アパート、オフィス、店舗などの投資用不動産では、一般住宅とは異なり、将来得られる収益が重要な判断材料になります。

不動産流通推進センターの価格査定マニュアルでは、戸建住宅に原価法、マンションや住宅地に事例比較法を採用しています。

不動産査定書とは

不動産査定書とは、対象物件の査定価格と、その価格を算出した根拠をまとめた書類です。「価格査定書」「査定報告書」「売却価格提案書」など、不動産会社によって名称が異なります。

不動産会社が作成する査定書には全国共通の法定様式があるわけではありません。価格だけを簡潔に記載したものもあれば、取引事例、周辺相場、販売戦略まで詳しく記載したものもあります。

査定書で確認したい項目

  • 対象物件の所在地や面積
  • 査定価格または査定価格の範囲
  • 価格を算出した時点
  • 採用した査定方法
  • 比較に使用した成約事例
  • 立地、築年数、方角などの評価
  • 建物状態や土地条件による加点・減点
  • 想定する売却期間
  • 推奨する売り出し価格
  • 販売活動の方針
  • 未確認事項や査定の前提条件

不動産査定書の一般的なひな形

不動産会社による査定書には統一された様式はありませんが、一般的には次のような項目で構成されます。なお、以下は正式な不動産鑑定評価書のひな形ではありません。

不動産価格査定書

1.査定対象物件の概要
所在地/物件種別/土地面積/建物面積/築年数/間取り/構造

2.査定条件
査定日/査定方法/現地確認の有無/想定する売却期間

3.査定価格
査定価格/査定価格の範囲/推奨する売り出し価格

4.査定価格の根拠
周辺の成約事例/市場動向/個別要因/加点項目/減点項目

5.留意事項
境界/越境/法令上の制限/建物状態/未確認事項

6.査定会社の情報
会社名/宅地建物取引業免許番号/所在地/担当者名/連絡先

査定書を自分で作成しても正式な鑑定評価にはならない

相続人同士の情報共有や資産管理のために、査定結果を表形式で整理することは可能です。ただし、ひな形を利用して自分で作成した書類が、不動産鑑定士による正式な鑑定評価書になるわけではありません。

裁判や税務、法人間取引などで公的な証明力が必要な場合は、税理士、弁護士、不動産鑑定士などの専門家に必要な書類を確認してください。

査定価格・売り出し価格・成約価格の違い

不動産売却では、査定価格、売り出し価格、成約価格という複数の価格が登場します。それぞれの意味を区別しておく必要があります。

査定価格

不動産会社が、取引事例や物件の条件をもとに算出した売却見込み価格です。不動産会社によって採用する事例や販売方針が異なるため、査定価格にも差が生じます。

売り出し価格

不動産広告へ掲載し、購入希望者へ提示する価格です。査定価格、売主の希望、売却期限、価格交渉の余地などを考慮し、売主が最終的に決定します。

成約価格

買主との交渉を経て、売買契約で合意した価格です。査定価格や売り出し価格と同じになるとは限りません。

手取り額は成約価格より少なくなる

売却代金からは、仲介手数料、登記費用、住宅ローンの返済費用、税金などが差し引かれる場合があります。

住み替えやローン返済の計画を立てる際は、査定価格だけでなく、売却後に手元へ残る金額も確認しましょう。

高い査定額を出した会社が最適とは限らない

複数社へ不動産査定を依頼すると、会社によって査定額が大きく異なることがあります。しかし、最も高い査定額を出した会社が、最も高く売却できるとは限りません。

高い査定額の根拠を確認する

査定額がほかの会社より大幅に高い場合は、次の点を質問してみましょう。

  • どの成約事例を参考にしたのか
  • 査定対象の物件と事例の条件は近いか
  • どの程度の期間で売れる想定なのか
  • 査定価格と同じ金額で売り出すのか
  • 反響が少ない場合はいつ価格を見直すのか

根拠が明確で販売計画にも納得できるのであれば、高い査定額にも合理性がある可能性があります。説明が不十分な場合は、契約を急がずにほかの会社の意見も確認しましょう。

査定額を高くして契約を促すケースに注意する

媒介契約を獲得するために、売却可能性より高い価格を提示する可能性も否定できません。高い価格で売り出して反響が得られず、後から何度も値下げすることになれば、売却期間が長くなる場合があります。

査定額ではなく、査定の根拠と販売方法を比較することが大切です。

仲介の査定価格と買取価格は異なる

不動産会社へ査定を依頼すると、「仲介」と「買取」の価格を提示される場合があります。両者は売却方法が異なるため、価格も同じにはなりません。

仲介による売却

不動産会社が広告や紹介を行い、一般の購入希望者を探す方法です。買主が見つかるまで時間がかかる可能性がありますが、市場価格に近い条件で売却できる可能性があります。

不動産会社による買取

不動産会社が買主となって直接購入する方法です。買主を探す期間を短縮しやすい一方、不動産会社が再販売費用や保有リスクを負うため、一般的に仲介の査定価格より低くなります。

価格を優先するのか、売却時期や手続きの簡便さを優先するのかを整理して選択しましょう。

大手と地域密着型の不動産会社はどちらがよい?

不動産会社は、規模の大きさだけで選ぶものではありません。物件の所在地、種類、売却条件によって、適した会社は異なります。

大手不動産会社の特徴

  • 広い地域に店舗や営業拠点を持つ会社が多い
  • 広告や販売活動の仕組みが整備されている
  • 社内の顧客情報を活用できる場合がある
  • 担当エリアや物件種別によって経験に差がある

地域密着型の不動産会社の特徴

  • 地域特有の相場や需要に詳しいことがある
  • 地元の購入希望者とつながりを持つ場合がある
  • 狭い地域での売却実績が豊富な場合がある
  • 対応エリアや広告規模が限られることがある

大手と地域密着型の双方へ査定を依頼し、査定価格と販売戦略を比較する方法もあります。

不動産査定で伝えておきたい物件の問題点

正確な査定を受け、売却後のトラブルを避けるためには、把握している不具合や権利関係を不動産会社へ伝えることが重要です。

  • 雨漏りやシロアリ被害
  • 給湯器や住宅設備の故障
  • 増築やリフォームの履歴
  • 土地の境界が不明であること
  • 隣地との越境があること
  • 過去に浸水などの被害があったこと
  • 共有名義になっていること
  • 相続登記が完了していないこと
  • 賃貸借契約や借地権が設定されていること

不具合を隠して売却すると、契約不適合責任をめぐる問題につながる可能性があります。判断に迷う内容も、まずは不動産会社へ伝えてください。

不動産査定ソフトや公的データの活用方法

不動産査定ソフトは、物件情報や取引事例を入力し、査定価格や提案書を作成するためのシステムです。不動産会社向けの価格査定マニュアルのほか、一般向けのAI査定サービスもあります。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、不動産の取引価格、地価公示、防災情報、都市計画情報などを確認できます。売却前に周辺相場を把握する際の参考になります。

ただし、公的データや査定ソフトだけでは、室内状態、日当たり、土地の形状、境界など、物件固有の条件を完全には判断できません。

不動産査定を依頼する前に確認したい注意点

不動産査定を有効に活用するためには、査定サービスの仕組みを理解し、査定額以外の情報も比較する必要があります。

  • 査定額は売却を保証する金額ではない
  • 一括査定では複数の会社から連絡が入る
  • 依頼先を増やしすぎると対応の負担が大きくなる
  • AI査定や匿名査定は概算価格として利用する
  • 査定額が高い会社には算出根拠を確認する
  • 仲介価格と買取価格を混同しない
  • 個人情報の提供先や利用目的を確認する
  • 査定後に媒介契約を急いで結ぶ必要はない

価格だけを知りたい段階では匿名査定やAI査定を利用し、売却を具体的に考え始めたら複数社の机上査定へ進み、依頼先の候補を絞って訪問査定を受ける方法があります。

不動産会社を選ぶ際は、査定価格の高さだけではなく、価格の根拠、対象地域での実績、担当者の説明、販売方法、想定売却期間を比較しましょう。複数の情報を確認することで、自分の物件や売却方針に合った不動産会社を判断しやすくなります。

<参考サイト>国土交通省/国土交通省 不動産情報ライブラリ/公益財団法人 不動産流通推進センター/一般財団法人 不動産適正取引推進機構/HOME4U/LIFULL HOME’S/SUUMO/すまいValue/イエウール/HowMa